海洋汚染の事実 

海はこの地球上のすべての命の起源であり、原動力です。
その海が脅威にさらされています。 

 

海が直面している危機の大きな原因の一つは「汚染」です。ゴミはどのように海へ流れ込むのでしょうか?人間の生活から生み出されるゴミは、廃棄されたもの、汲み出されもの、流れ出てたり、漏れてきたり… さらに洗濯物の排水にも含まれます。毎日、私たちは世界の水路をプラスチックのかけらや、化学物質、原油など様々な汚染物にさらしています。 

しかし、私たちの行動を一変させる時間はまだあります。海洋の汚れた事実を知り、日々の行動に変化を起こしましょう。 

 

 

​海洋汚染に関する事実を知ってシェアしよう

 

事実 1: 原油タンカー事故の流出は最大の石油汚染原因ではない 

よく新聞の見出しになる原油タンカー事故の油は、海を汚す石油のわずか12%です。この2〜3倍もの石油が(※1) 道路、川そして排水管からの流出によって海へ流れ出ています。 

 

海には魚よりプラスチックの方が多い

「1200万トン」これは毎年人間社会が生み出し、最終的に海へと行きつくプラスチックの総量です(※2)。これは10万頭以上のシロナガスクジラに相当します。2050年までに海洋プラスチックはすべての魚の量を上回ると見込まれています(※3)。 

 

事実 3: 世界に5つのゴミベルト水域がある

海にはゴミが非常に多いため、漂う破片などが巨大なゴミ集積場所を作り上げてしまいました。世界中で5つのゴミベルト水域があり、そのうち最大の太平洋ゴミベルトは1兆8000億個のゴミを含み、アメリカテキサス州の2倍の面積を占めています。

 

プラスチックは、2倍の危険をもたらす

海洋プラスチックは、日光と波にもまれて”マイクロプラスチック”として知られる小さな小さな破片のサイズまで細かくなり、 海洋食物連鎖の中に入り込みます。マイクロプラスチックが最終的に劣化した時(例えばペッドボトルは数百年もかかる ※5)、その過程では、海をさらに汚す原因となる化学物質が放出されています。

 

Fact 5:インドネシアとインドがゴミ最大量 

インドネシアとインドは他のどこよりも多くのプラスチックを海に放っています(※6)。この2カ国を合わせると、世界に影響を与えるプラスチックの量は、第3位のアメリカを含む次の7各国を合わせた量よりも多いのです。 

 

Fact 6: 海洋汚染はファッションにある

一回の洗濯で、70万本以上の非常に細い合成繊維が水路に流されています(※7)。コットンやウールなどの自然繊維とは違い、これらの化学繊維は分解できません。ある推測では、海中のプラスチックマイクロファイバーは1平方キロメートルあたり40億本だとされています(※8)。

 

Fact 7: 何トンものゴミは海底にある

海が汚れているのを見るのはつらいことですが、見えない場所にあるものはもっとひどいかもしれません。科学者たちは1400万トンの海洋ゴミが実際に海底に眠っていると推定しており(※9)、私たちがそれらのゴミを全て回収できる可能性は低いとされています。 

Fact 8: 栄養素でさえも有害なものになりえる

窒素などの農業用栄養素が大量に海に流れ出ると、藻類が活発になり、爆発的な増殖につながります。藻類が分解するとき、周りの水に含まれる酸素が消費されるため、そこに広大なデッドゾーンができ、魚類や他の海洋生物の大量死につながる可能性があります(※10)。 

 

Fact 9: デッドゾーンの数は増えている 

2004年、科学者たちは世界の海に146の低酸素地域(酸素濃度が低く、動物が窒息死する水域)を発見しました(※11)。2008年までにその数は400を超え(※12)、2017年にはメキシコ湾では、ニュージャージー州とほとんど同じ大きさのデッドゾーン(当時の過去最大の大きさ)が見つかっています(※13)。

 

Fact 10: 大量のムール貝が失われている 

温室効果ガスの影響の一つは、海洋酸性化の悪化です。これによってムール貝、アサリ、牡蠣などの二枚貝が殻を作りにくくなり(※14)、さらに生存率が低下し、食物連鎖が乱れ、数十億円規模の貝産業に影響を与えています。 

 

Fact 11: 人間の騒音がさらに悪影響をおよぼす

船や軍事活動による騒音公害は、クラゲやイソギンチャクを含む無脊椎動物の一種に細胞被害を及ぼす可能性があります。これらの生き物はマグロ、サメ、ウミガメなどの、人間にとって重要な食料源であり、食物連鎖に影響をおよぼします(※15)。

 

 

参考文献

  1. Oil in the Sea III: Inputs, Fates, and Effects. National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. 2003. Washington, DC: The National Academies Press. https://doi.org/10.17226/10388.
  2. Jambeck, J. R., Geyer, R., Wilcox, C., Siegler, T. R., Perryman, M., Andrady, A., Narayan, R., & Law, K. L. (2015). Plastic waste inputs from land into the ocean. In Science (Vol. 347, Issue 6223, pp. 768–771). American Association for the Advancement of Science (AAAS). https://doi.org/10.1126/science.1260352
  3. World Economic Forum. (2016). The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics. https://www3.weforum.org/docs/WEF_The_New_Plastics_Economy.pdf
  4. Lebreton, L., Slat, B., Ferrari, F. et al. Evidence that the Great Pacific Garbage Patch is rapidly accumulating plastic. Sci Rep 8, 4666 (2018). https://doi.org/10.1038/s41598-018-22939-w
  5. Woods Hole Oceanographic Institution. Marine debris is everyone's problem. https://www.whoi.edu/fileserver.do?id=107364&pt=2&p=88817
  6. Law, K. L., Starr, N., Siegler, T. R., Jambeck, J. R., Mallos, N. J., & Leonard, G. H. (2020). The United States’ contribution of plastic waste to land and ocean. In Science Advances (Vol. 6, Issue 44). American Association for the Advancement of Science (AAAS). https://doi.org/10.1126/sciadv.abd0288
  7. Napper, I. E., & Thompson, R. C. (2016). Release of synthetic microplastic plastic fibres from domestic washing machines: Effects of fabric type and washing conditions. In Marine Pollution Bulletin (Vol. 112, Issues 1–2, pp. 39–45). Elsevier BV. https://doi.org/10.1016/j.marpolbul.2016.09.025
  8. Parker, L. (2022, June). Ocean Trash: 5.25 Trillion Pieces and Counting, but Big Questions Remain. National Geographic. https://education.nationalgeographic.org/resource/ocean-trash-525-trillion-pieces-and-counting-big-questions-remain
  1. Barrett, J., Chase, Z., Zhang, J., Holl, M. M. B., Willis, K., Williams, A., Hardesty, B. D., & Wilcox, C. (2020). Microplastic Pollution in Deep-Sea Sediments From the Great Australian Bight. In Frontiers in Marine Science (Vol. 7). Frontiers Media SA. https://doi.org/10.3389/fmars.2020.576170
  2. National Ocean Service. Nutrients: Pollution Tutorial. U.S. Department of Commerce, National Oceanic and Atmospheric Administration. https://oceanservice.noaa.gov/education/tutorial_pollution//010nutrients.html
  3. DYBAS, C. L. (2005). Dead Zones Spreading in World Oceans. In BioScience (Vol. 55, Issue 7, p. 552). Oxford University Press (OUP). https://doi.org/10.1641/0006-3568(2005)055[0552:dzsiwo]2.0.co;2
  4. Diaz, R. J., & Rosenberg, R. (2008). Spreading Dead Zones and Consequences for Marine Ecosystems. In Science (Vol. 321, Issue 5891, pp. 926–929). American Association for the Advancement of Science (AAAS). https://doi.org/10.1126/science.1156401
  5. National Oceanic and Atmospheric Administration. (2017, August). Gulf of Mexico ‘dead zone’ is the largest ever measured. U.S. Department of Commerce. https://www.noaa.gov/media-release/gulf-of-mexico-dead-zone-is-largest-ever-measured
  6. Bullard, E. M., Torres, I., Ren, T., Graeve, O. A., & Roy, K. (2021). Shell mineralogy of a foundational marine species, Mytilus californianus , over half a century in a changing ocean. In Proceedings of the National Academy of Sciences (Vol. 118, Issue 3). Proceedings of the National Academy of Sciences. https://doi.org/10.1073/pnas.2004769118
  7. Weilgart, L. 2018. The impact of ocean noise pollution on fish and invertebrates. Report for OceanCare, Switzerland. 34 pp. https://www.oceancare.org/wp-content/uploads/2017/10/OceanNoise_FishInvertebrates_May2018.pdf